金曜日のロワードLOWARD ON FRIDAY
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ビジネスバッグ選びに必要な視点とは?
――ビジネス書作家・美崎栄一郎さんインタビュー
ビジネスバッグ選びに、妥協は許されない。「かばん」は所有者の人格を表すアイテムであり、不特定多数の相手から見られるもの。
仕事の相棒であるからこそ、機能とデザイン、そして汎用性にこだわるのは当然だ。
ではこの時代、どんなビジネスバッグを持つべきなのか――。多数のヒット作を生むビジネス書作家であり、商品開発コンサルタントとしても活躍する美崎栄一郎さんに、ビジネスバッグ選びに必要な視点をうかがった。
自分のビジネススタイルを客観視することで、持つべき本当の“相棒”と出会えるはずだ。
美崎栄一郎/
1971年、横浜で生まれ大阪で育つ。
大阪府立大学大学院工学研究科を卒業後、花王株式会社で約15年勤務ののち、
現在は、独立し、商品開発コンサルタント、ビジネス書作家、講演家として活動中。
――美崎さんは、昨今のビジネスバッグの傾向をどのように見ていますか?
美崎:「クールビズなどの影響もあって、ビジネススタイルがカジュアルなほうへ向かっていますよね。だから、スクエア型のかっちりとしたブリーフケースよりも、ジャケパンにも合わせられるような、カジュアルとフォーマルの間くらいに位置しているデザインのほうが、使い勝手がいいのかなと思います」
――電車などでビジネスマンを見て、「この人のかばん、残念だなぁ」って思う瞬間はありますか?
美崎:「かばんの角が擦れて傷ができていたり、くたびれた印象のかばんを持っていたりする人は、それだけで仕事ができない感が出てしまいますよね。実はかばんって、買い替えのタイミングがわかりづらいアイテムだと思うんです。穴が開いて使えなくなるとか、そういうことは滅多に起きないじゃないですか。切り替えのシグナルが少ないぶん、自分が使っているビジネスバッグを客観的に見る意識を持つことが大切だと思います」
――確かに、惰性で使い続けてしまっている方も多いかもしれませんね。
美崎:「はい。僕が書いた本(「超速 片づけ仕事術」)のなかでも、かばんの中にあるものは自宅に帰ったら全部出すことを提案しています。出さないと、使わない荷物が溜まってしまうんですよ。昨日と今日の仕事が違うのであれば、装備も違っていてしかるべき。中身ゼロの状態から必要なものだけを入れることで、自分のかばんを客観視でき、シーンにあったかばんを選ぼうという気になると思います。そして、忘れ物をしなくなります」
――美崎さんが考えるビジネスバッグ選びのポイントについて、機能や利便性の側面から教えていただけますか?
美崎:「僕が個人的に重視するディテールは、スマホや名刺、交通系ICカードが収納できるスペ―スが気軽な場所にあるかどうか。この“気軽な場所にあるかどうか”が大事で、ワンアクションで取り出せる外ポケットが付いているのが理想。あと、僕はタブレットを必ず持ち歩くので、それがしっかり納まる場所があるのかどうかも意識しますね。ちゃんと納まっていないと、使いたいときに出てこないので、非常にストレスなんです。飛行機や新幹線で移動しているビジネスマンを見ると、タブレットで新聞や本を読んでいる人を多く見かけます。最近はタブレットが必須アイテムな方も増えていると思うので、A5ファイルが入るスペースがあるかどうかをチェックしておくといいと思います。かばんを買い替えるときは、自分が持ち歩くものが何なのか、それらが定位置に納まるかどうかを意識するとよいでしょう」
――かばんの重量については気にされますか?
美崎:「そこも重要ですね。かばん自体が重たいと、それだけで荷物が増えたのと同じことなので。結局、旅行や出張で疲れるのは、荷物を持って移動することに疲れているんですよ。だから僕は、必ずかばん本体の重量もチェックします。基本的に1㎏を超えるかばんは買わないようにしていますね」
――つまり、収納を制限するということですよね?
美崎:「そうですね。外ポケットは、スマホやパスケースなどワンアクセスで出したいものが入ればいい。多くのものを入れる必要はありませんからね。あと、取り外しできるショルダーベルトが付属するのもポイントですね。普段は使わなくても、荷物が増えたときに肩掛けできると、身体への負担が軽減されます」
↑「ショルダーベルトは長距離移動時などにも重宝します」(美崎)
――メイン収納に関してはいかがでしょうか?
美崎:「底部のマチが広いので使いやすいと思います。シンプルな構造なので、バッグインバッグを中仕きりのように入れて、スペースをカスタマイズしたいですね。バッグインバッグって、文房具メーカーから非常に使いやすい商品が出ているんです。僕はキングジムのバッグインバッグを使っていますが、こういったビジネスバッグの整理収納にはおすすめですね。ちなみに、このかばんの素材は何ですか?」
↑底面近くまで開閉するので荷物の出し入れが容易。内側にはファスナー付きポケットやイヤホンコード巻きを備えている
↑「内側に余計な装備がないので、バッグインバッグを利用するとより便利そう」(美崎)
――こぶ牛の角シボ型押しレザーです。
美崎:「風合いも触った感じもいいですし、型押しレザーで傷が付きにくいのもポイントですね。傷を風合いと捉えることもできますが、ビジネスバッグだとそれがそぐわないケースが多いですから。買った状態が長く続くほうが、ビジネスバッグとしては使い勝手がいいと思います」
]
↑変色・変化が少なく、傷のつきにくい素材を採用
――続いて、こちらのクラッチバッグはいかがでしょう?
↑Selva(セルヴァ)PAP101/価格:¥10,000 +税。カラーはブラック(写真)とネイビーの2色展開
美崎:「バッグインバッグとしても使えそうですし、スマホと財布、パスケースといったような必要最低限のものだけを持って出かけたいときにちょうどいいですね。特に出張に出ると、こういったちょっとしたサブバッグがあると重宝するんですよ。新幹線や飛行機の移動時も、座席で使うタブレットやチケットなどを入れておくと便利です。メインのバッグとサブバッグが同じメーカーの同じ素材でラインナップしているのは、スーツとのコーディネイトを考えても非常にありがたいですね。ビジネスバッグとクラッチバッグをコンビで購入しても、3万円(税抜)という価格は、コストパフォーマンスに優れていると思います」
↑スマホやサイフ、手帳など、ちょっとしたものを持ち運ぶのにちょうど良いサイズ感です
↑「同じブランドであれば、服装を片方に合わせば自然ともう一方にも合うので便利ですね。クラッチバッグをバッグインバッグとして利用しても良さそうです」(美崎)
【商品紹介】
↑セルヴァ PAP102(ブラック・左上/ネイビー・右上)、セルヴァ PAP102(ブラック・左下/ネイビー・右下)、
PAP102は、三方開きのジップファスナーで開閉する、洗練されたデザインのレザーバッグ。表側には、こぶ牛のコンビネーション鞣し角シボ型押しレザーを贅沢に使用。経年変化が控えめで、傷が目立たないのが特徴だ。丁寧かつ技を尽くした縫製も評価ポイントで、ハンドル付け根を外タタキ仕様で仕上げるなど、強度はもちろん見た目の美しさにもこだわっている。使い勝手のいい外ポケットには、スマホやパスケースを収納可能。ショルダーベルトが付属する2WAYなのも嬉しい。ツイルコットン素材の内装には、ファスナー付きポケット、マルチポケットとペン入れ、さらにイヤホンコードを巻き付ける機能も装備。同シリーズでクラッチバッグ(PAP101)とトートバッグ(PAP103)も展開している。
文/馬渕 信彦 撮影/石上 彰
【掲載商品】
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